第14回時實利彦記念賞が戸田達史教授と柚崎通介教授に授与されました

時實利彦記念賞は、我が国における脳研究の推進に尽力された同氏を記念した賞で、 平成 11 年度から設けられました。原則として 60 歳以下の脳研究者が対象とされ、受 賞者には賞状と楯、副賞 100 万円が贈られます。
平成24年度の第14回時實利彦記念賞受賞者(2名)が、戸田 達史 教授と、柚﨑 通介 教授に決定しましたのでご報告いたします。今年の第35回日本神経科学大 会の会期中、平成 24 年 9 月 19 日(水) に名古屋国際会議場にて受賞記念講演が行われました。


戸田 達史 教授
所属:神戸大学大学院医学研究科 神経内科/分子脳科学
受賞課題名:「パーキンソン病および福山型筋ジストロフィー遺伝子の同定と病態解析」

受賞理由:脳と骨格筋が障害される日本に多い福山型筋ジストロフィー原因遺伝子フクチンを同定し、本症が数千年 前の一人の祖先におきたレトロトランスポゾン変異による初めての疾患であること、糖鎖修飾に関連すること、アンチセンス核酸を用いた治療の可能性を見いだしてきた。また確実なパーキンソン病疾患感受性遺伝子としてアルフ ァ・シヌクレインを同定し、さらに患者数千人規模のゲノムワイド関連解析を行い、4 つの遺伝子を明らかにするとともに、rare variant としてゴーシェ病遺伝子変異が確実なパーキンソンリスクであることを明らかにした。このようにヒト神経疾患をベースにした遺伝学的解析、病態解析に大きな実績をもつ。


柚﨑 通介 教授
所属:慶應義塾大学医学部生理学
受賞課題名:「小脳をモデルとした機能的・形態的シナ プス可塑性制御機構の解明」

受賞理由:記憶・学習の実体は、神経回路レベルにお いては、シナプスでの伝達効率の変化である。その分子レベルにおける実体は、シナプス後部における AMPA 型グルタミン酸受容体の数の変化 であると考えられている。一方、より長期に持続する記憶・学習にはシナプスの形態の変化が関与する。しかし神経回路や分子レベルにおける変化と、個体レベルにおける記 憶・学習との関連については十分に分かっていない。柚﨑通介氏は、小脳神経回路をモデルとして、分子-回路-個体レベルにおける記憶・学習機構の統合的理解を進めた。とりわけ、δ2 型グルタミン酸受容体と Cbln1 が、AMPA 受容体の数とともに小脳シナプス形成過程を制御することによって小脳運動学習に関与することを発見した。この新しいシナプス制御機構は小脳以外の脳部位にも存在することが期待されている。


なお、過去の時実利彦記念賞受賞者は、以下の URL からご覧いただけます。http://tokizane.net/honours.html