第35回日本神経科学大会 注目シンポジウム
「2022 年の BMI とニューロフィードバック」

将来計画委員会・臨床連携 WG 合同企画「基礎-臨床統合シンポジウム」

座長:平田 雅之 特任准教授(大阪大学)、藤井 直敬 チームリーダー(理研BSI)

シンポジウムの内容:
ブレインマシンインターフェース(BM)とは、脳信号を読み解いて、その人の思い通り にロボットを動かしたり、コミュニケーションを可能にする技術であり、疾患や事故な どで失われた運動機能や認知機能を改善する新しい技術として期待されています。BMI の研究開発は、脳科学、工学、臨床医学等の融合領域にあり、最先端研究者が共同で取 り組む必要があります。このシンポジウムでは、各分野で最先端の研究を行なっている 研究者と若手研究者が、それぞれの立場からの BMI 研究開発の現状報告とこれから 10 年間に行うべき研究の方向性・到達目標、そしてその問題点、さらには解決の見通しを 発表します。それにより、今後 10 年間のこの分野の研究の方向性を見渡し、今後どの ように研究開発を進めて実用化を目指すべきかを明らかにしたいと思います。

シンポジスト:
(1)平田雅之 (大阪大学)
BMI の現状と今後 10 年の展望
(2)藤井直敬 (理研BSI)
Scalable interactive brain communication interface
(3)柴田和久 (ATR 脳情報通信総合研 / ブラウン大学心理学部)
デコーディッドニューロフィードバックにより引き起こされる行動変容
(4)Joseph E. O’Doherty (University of California, San Francisco)
Bringing the world of touch to brain-machine interfaces

内容:
私たちが何かを学習する際、課題に何度も取り組んだり、身体運動を継続的に繰り返す ことが必要です。トレーニングを通してよりうまい筋肉の使い方や洗練された課題遂行 能力を学ぶことが、自己の能力を高め弱まった機能を補うための一般的な方法でした。 一方ここ 10 年の間に、ニューロフィードバックとよばれる技術が発達しました。ニューロフィードバックは、ユーザ自身に脳活動を自在に扱うトレーニングを行なってもら うことで、知覚や認知、行動の変化を誘導するための技術です。これまで身体を通して 行なってきたトレーニングを、脳活動トレーニングで置き換える技術である、ともいえます。最近私たちは、デコーディッドニューロフィードバック(DecNef)とよばれる、新しいニューロフィードバック技術を開発しました。DecNef は、従来の方法に比べ、より微細で複雑な脳活動パターンのフィードバックを可能にします。これによって、そ れまで実現が難しかった種類のニューロフィードバックトレーニングを行うことがで きるようになりました。本講演では、DecNef の仕組みおよび科学や医療への応用について紹介します。

図:
DecNef の仕組み。ユーザは自己の脳活動の変化を誘導する。誘導された現在の脳 活動パターンと目標の脳活動パターンが比較され、類似度がユーザにフィードバックさ れる。ユーザはフィードバックされる類似度をできるだけ高められるよう、脳活動誘導 の訓練を行う。