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演題詳細

Educational Lectures


開催日 2014/9/12
時間 10:00 - 11:00
会場 Room D(503)
Chairperson(s) 山森 哲雄 / Tetsuo Yamamori (自然科学研究機構 基礎生物学研究所 / National Institute for Basic Biology)

疾患マーモセットモデルを作る

  • EL5
  • 佐々木 えりか / Erika Sasaki:1 
  • 1:公益財団法人 実験動物中央研究所 応用発生学研究部 / Central Institute for Experimental Animals 

これまで遺伝子改変マウスは、遺伝子機能の解明、疾患の治療法の開発、疾患発症のメカニズムの解明などに貢献してきた。しかしながら一方で、ヒトとマウスでは系統学的に距離があり、マウスで得られた結果をヒトに直接外挿できない事がある。そのため、ヒトに生理学的、解剖学的により似ている非ヒト霊長類の実験動物が重要な役割を果たす。
 コモンマーモセットは、繁殖力が高い小型の霊長類で、実験動物として高い有用性を示す。これまで霊長類では、モデル動物は外科的手法、薬剤誘導法によって作出されたもの、もしくは自然発症によるものに限られてきた。しかしながら2009年に遺伝子改変コモンマーモセットを作製し、導入遺伝子が次世代へ伝達することが示されてから、多くの研究者が遺伝子改変霊長類によるモデル動物作製を試みている。
 遺伝子改変マウスモデルでは、外来遺伝子を導入したトランスジェニック動物よりも標的遺伝子を破壊したノックアウトマウスの方はより多く用いられている。しかしながら、霊長類では、胚盤胞期の受精卵に注入してキメラ動物を作製可能なES細胞の樹立ができなかったため、標的遺伝子ノックアウトの作製が困難であった。近年、標的遺伝子を切断し、その後の遺伝子修復過程でエラーによるフレームシフトで遺伝子がコードしているタンパク質が機能しなくなるゲノム編集技術が発達してきている。このゲノム編集技術を霊長類の受精卵に応用することにより、霊長類においても標的遺伝子ノックアウトの作製が可能となってきた。このように技術革新により、霊長類においても様々な遺伝子改変モデルが作製可能となりつつある。
 一方で、遺伝子改変霊長類が技術的には作出可能となっても、寿命が長いため目的の疾患の発症に時間がかかる、性成熟までに時間がかかるため、ライン化して実験に用いることが難しいなどの問題点がまだまだ残されている。今後、遺伝子改変マーモセットをモデルとして有用性を高めるために、現在の我々の取り組みについて紹介する。

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