COI基本指針

産学連携による医学研究の利益相反(COI)に関する基本指針

日本神経科学学会

(1)目的
日本神経科学学会(以下本学会)が会員などの利益相反状態を適切にマネージメントすることにより、研究成果の発表やそれらの普及・啓発などの活動を中立性と公明性を維持した状態で適正に推進させ、医学研究の進歩に貢献することにより社会的責務を果たすことを目的とする。そのために、本指針では、会員などに対して利益相反についての基本的な考えを示し、本学会の会員などが各種事業に参加し発表する場合、自らの利益相反状態を自己申告によって適切に開示し、本指針を遵守することを求める。

(2)COIの定義
教育、研究という学術機関、学術団体としての責任と、医学研究における産学連携活動に伴い生じる個人の得る利益が衝突・相反する状態。
医学研究とは、「予防,診断および治療方法の改善,疾病原因および病態の理解の向上ならびに患者の生活の質の向上を目的として行われる産学連携の研究であって,生命科学研究や基礎医学研究から人間を対象とする臨床医学研究(個人を特定できる人由来の材料および個人を特定できるデータに関する研究を含む),臨床試験までの研究」(COIマネージメントに関するガイドライン 2013 日本医学会)を指す。

(3)対象者
1.本学会の役員(学会長、副学会長、理事)、学術大会長、学術大会実行委員長、学術大会プログラム委員長、次回学術大会長、各種委員会の委員長、Neuroscience Research 編集委員長、倫理・利益相反委員会の委員
2. 1の対象者の配偶者、一親等の親族、または収入・財産を共有する者
3. 本学会学術大会等で発表する者(非会員を含む)
4. 本学会の発行する学術雑誌で発表する者(非会員を含む)
対象となる活動
1. 学術大会などの開催
2. 学会機関誌、学術図書などの発行
3. 学会ホームページの運営
4. 学会の目的を達成するために必要なその他の事業
特に、下記の活動を行う場合には、特段の指針遵守が求められる。
本学会が主催する大会等での発表(ランチョンセミナー等を含む)
Neuroscience Researchその他の刊行物での発表

(4)申告すべき事項
対象者は、個人における以下の(1)~(9)の事項で、細則(運用指針)で定める基準を超える場合には、その正確な状況を本学会会長に申告するものとする。なお、申告された内容の具体的な開示、公開の方法については別に細則で定める。
1. 企業・法人組織、営利を目的とする団体の役員、顧問職、社員などへの就任
2. 企業の株の保有
3. 企業・法人組織、営利を目的とする団体からの特許権などの使用料
4. 企業・法人組織、営利を目的とする団体から、会議の出席(発表)に対し、研究者を拘束した時間・労力に対して支払われた日当(講演料など)
5. 企業・法人組織、営利を目的とする団体がパンフレットなどの執筆に対して支払った原稿料
6. 企業・法人組織、営利を目的とする団体が提供する研究費(治験,臨床試験費など)
7. 企業・法人組織、営利を目的とする団体が提供する研究費(受託研究、共同研究、寄付金など)
8. 企業・法人組織、営利を目的とする団体がスポンサーとなる寄付講座
9. その他、上記以外の旅費(学会参加など)や贈答品などの受領

(5)利益相反状態との関係で回避すべき事項

対象者のすべてが回避すべきこと
本学会の会員は、医学研究の結果とその解釈といった公表内容について、産学連携による医学研究の資金提供者・企業の恣意的な意図に影響されてはならず、また影響を避けられないような契約を資金提供者などと締結してはならない。

産学連携による医学研究の責任者が回避すべきこと
産学連携による医学研究の計画・実施に決定権を持つ総括責任者には、次の項目に関して重大な利益相反状態にないと社会的に評価される研究者が選出されるべきであり、また選出後もその状態を維持すべきである。
1) 産学連携による医学研究を依頼する企業の株の保有
2) 産学連携による医学研究の結果から得られる製品・技術の特許料・特許権などの獲得
3) 産学連携による医学研究を依頼する企業や営利を目的とした団体の役員、理事、顧問など(無償の科学的な顧問は除く)
例外条件
但し、1)~3)に該当する研究者であっても、当該研究を計画・実行するうえで必要不可欠の人材であり、かつ当該研究が医学的に極めて重要な意義をもつような場合には、その判断と措置の公平性、公正性および透明性が明確に担保されるかぎり、当該研究の責任者に就任することができる。

(6)実施方法
会員の責務
会員は、利益相反状態にある産学連携による医学研究の成果を学術大会や学術雑誌などで発表する場合、本学会の利益相反運営指針に従い、当該研究実施が利益相反状態にあることを所定の書式で適切に開示するものとする。研究などの発表との関係で、本指針に反するとの指摘がなされた場合には、学会長は利益相反を管轄する委員会(以下、倫理・利益相反委員会と略す)に審議を求め、その答申に基づき、妥当な措置方法を講ずる。

役員等の責務
本学会の役員(学会長、副学会長、理事)、大会長、各種委員会委員長、および利益相反委員会、Neuroscience Research編集委員会の委員は本学会に関わる事業活動に対して重要な役割と責務を担っており、当該事業に関わる利益相反状況については、就任した時点で所定の書式に従い自己申告を行なうものとする。 また、就任後新たに利益相反状態が発生した場合には、規定に従い修正申告を行うものとする。

倫理・利益相反委員会の役割
倫理・利益相反委員会は、本学会が行うすべての事業において、重大な利益相反状態が会員に生じた場合、あるいは、利益相反の自己申告が不適切で疑義があると指摘された場合、当該会員の利益相反状態をマネージメントするためにヒアリングなどの調査を行い、その結果を学会長に答申する。

学会長の役割
本学会の学会長は、役員などが本学会の事業を遂行するうえで、重大な利益相反状態が生じた場合、あるいは利益相反の自己申告が不適切であると認めた場合、倫理・利益相反委員会に諮問し、答申に基づいて学会長は改善措置などを指示することができる。

学術大会責任者の役割
学術大会の大会長は、学会において産学連携による医学研究の成果が発表される場合には、その実施が本指針に沿ったものであることを検証し、本指針に反する演題については発表を差し止めるなどの措置を講ずることができる。この場合には、速やかに発表予定者に理由を付してその旨を通知する。なお、これらの措置の際に上記担当責任者は倫理・利益相反委員会に諮問し、その答申に基づいて改善措置などを指示することができる。

Neuroscience Research編集委員会の役割
Neuroscience Research編集委員会は、学会機関誌などの刊行物で研究成果の原著論文、総説、編集記事、意見などが発表される場合、その実施が本指針に沿ったものであることを検証し、本指針に反する場合には掲載を差し止めるなどの措置を講ずることができる。この場合、速やかに当該論文投稿者に理由を付してその旨を通知する。本指針に違反していたことが当該論文掲載後に判明した場合は、当該刊行物などに編集委員長名でその旨を公知することができる。なお、これらの措置の際に編集委員長は倫理・利益相反委員会に諮問し、その答申に基づいて改善措置などを指示することができる。

その他
その他の委員長・委員は、それぞれが関与する学会事業に関して、その実施が本指針に沿ったものであることを検証し、本指針に反する事態が生じた場合には、速やかに事態の改善策を検討する。なお、これらの対処については倫理・利益相反委員会に諮問し、答申に基づいて学会長は改善措置などを指示することができる。

(7)指針違反者に対する措置と説明責任
指針違反者に対する措置

本学会の学会長は本指針に違反する行為に関して審議する権限を有しており、倫理・利益相反委員会に諮問し、答申を得たうえで、理事会で審議した結果、重大な指針違反があると判断した場合には、その違反の程度 に応じて一定期間、次の措置の全てまたは一部を講ずることができる。
1. 本学会の主宰する大会での発表禁止
2. 本学会の刊行物への論文掲載禁止
3. 本学会学術大会の大会長就任禁止
4. 本学会の常任委員会、各種委員会への参加禁止
5. 本学会の理事の解任、あるいは理事になることの禁止
6. 本学会会員の資格停止、除名、あるいは入会の禁止

不服の申立
被措置者は、本学会に対し不服申立をすることができる。本学会の学会長は、これを受理した場合、速やかに不服申立て審査委員会(暫定諮問委員会)を設置して、審査を委ね、その答申を理事会で協議したうえで、その結果を不服申立者に通知する。
説明責任
本学会は、自らが関与する場所で発表された産学連携による医学研究の成果について、重大な本指針の違反があると判断した場合は、直ちに理事会の協議を経て社会に対する説明責任を果たさねばならない。

(8)細則の制定
本学会は、本指針を運用するために必要な細則(運用指針)を制定することができる。

(9)指針の改定
本指針は、社会的要因や産学連携に関する法令の改正、整備、ならびに研究をめぐる諸条件に適合させるためには、定期的に見直しを行い、改正することができる。

(10)施行日
本指針は平成26年10月1日より施行する。