[学会について] 理事長からのメッセージ

神経科学の明日へむけて

日本神経科学学会理事長
山中宏二
(名古屋大学環境医学研究所)
 理事長としてさらに2年間、重責を担うこととなりました。2023年の就任以来、一般社団法人への移行、評議員制度の導入、社員総会の開催、そして Neuroscience Research 誌のオープンアクセス化等、本学会にとって大きな変革の2年間となりました。会員の皆様のご支援とご理解に深く感謝申し上げます。

一般社団法人への移行を機に導入した評議員制度は、学会運営に多様な視点を取り入れる重要な一歩となりました。各種委員会委員にも若手・中堅の評議員・会員の登用がされつつあり、次世代の会員に学会運営に参加していただく流れができつつあります。理事は評議員から選出され、評議員による投票で決定される仕組みとなっています。今年度後半には評議員の改選が予定されておりますので、多くの会員の皆様に立候補いただき、日本神経科学学会をともに支え、発展させていただきたいと願っております。次に、学会誌 Neuroscience Research の契約を更新し、国際学術誌としてオープンアクセス誌に移行しました。本会会員に対する特典として掲載料割引制度を設けておりますので、ホームページを確認のうえ、積極的な投稿をお願いいたします。国際連携においては、IBRO、SfN、中日韓(CJK)、FAONS での活動、そして二国間の連携など、本学会は多くの海外学会との関係を深め、グローバルなネットワークを拡大してまいりました。本学会が多くの海外学会のカウンターパートとして引き続き国際連携を深め、日本の神経科学研究の国際的プレゼンスをさらに高めていく所存です。会員数も約6,400 名と過去最高を記録しており、学会の活動基盤はより強固なものとなっています。就任時に掲げた「私たちの神経科学学会」の理念のもと、会員一人ひとりにとって価値ある学会、そして神経科学の発展に真に貢献できる組織を目指して、引き続き尽力してまいります。

2025年7月24日から27日にかけて、第48回日本神経科学大会が新潟で開催されます。本会設立50周年という節目を記念した特別イベントも企画されており、神経科学の過去を振り返るとともに、未来を展望する貴重な機会となることでしょう。多くの会員の皆様にご参加いただき、この歴史的な大会を盛り上げていただきたいと思います。

昨今、科研費増額の要望や国立大学協会による「もう限界」との緊急声明にもありますように、研究環境の厳しさが続いています。基盤的経費の漸減により、科研費が研究者の基盤的研究費としての役割を担うようなったと感じています。神経科学分野は、科研費というボトムアップ型研究費に加え、AMED などによるトップダウン型の大型研究費によっても基礎研究から応用まで支援されており、他分野と比較すれば比較的恵まれた環境にあると言えるでしょう。しかし、この状況を維持・発展させていくためには、社会からの理解とサポートが不可欠です。

年次大会においても定期的に、神経科学の将来、研究者のキャリアや研究環境を考えるイベントを開催しております。会員の皆様には、ぜひ一緒に考え、行動し、将来にわたり神経科学が発展するために、アウトリーチ活動等を通じて研究の意義や成果を広く社会に発信していただきたいと願っております。それぞれの会員のボトムアップな取組みにより、神経科学の重要性に対する社会的理解が深まり、持続的な研究環境の構築につながるものと確信しております。学会設立50周年イベントを神経科学の将来を考える機会としていただければ幸いです。

2025年7月

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