[学会について] 理事長からのメッセージ

50周年を礎に、次の半世紀へ

日本神経科学学会理事長
山中宏二
(名古屋大学環境医学研究所)

2023年の就任以来、理事長4年目を迎え、任期も残り1年となりました。一般社団法人への移行、評議員制度の導入、学会誌Neuroscience Research(NSR)のオープンアクセス化、そして昨夏の第48回大会・学会設立50周年と、変革と節目が重なった3 年間でした。会員の皆様のご支援とご理解によって実現できたことばかりであり、改めて深く御礼申し上げます。会員数も6,500名に達し、学会の活動基盤はより強固なものとなりました。就任時に掲げた「私たちの神経科学学会」の理念のもと、残る任期1年もさらなる前進を期してまいります。

第48回日本神経科学大会(2025年7月、新潟)は約3,000名の参加を得て盛況のうちに終了しました。50周年記念シンポジウムでは、神経科学の半世紀の歩みを振り返るとともに、次世代への展望が熱く語られました。草創期からの先達が積み上げてきた知的遺産を受け継ぎつつ、新たな時代を開拓していくという気概を参加者全員で共有できたことは、この上ない喜びでした。藤山大会長をはじめ実行委員会の皆様に、改めて心より御礼申し上げます。

昨年末には評議員の改選が実施され、143名の新評議員が選出されました。若手・中堅世代からも積極的に立候補いただき、評議員構成の世代的多様性が高まりつつあります。理事は評議員から選出され、評議員による投票で決定される透明性の高い仕組みのもと、さらに多くの次世代会員の皆様が将来の評議員選挙に立候補し、委員会活動に加わるなど、「私たちの学会」を自らの手で動かしていただきたいと心より願っております。

国際情勢に目を向けると、米国における研究予算政策の変化や地政学的緊張の高まりが、国際共同研究のあり方に影響を及ぼしつつあります。こうした時代だからこそ、学術コミュニティが連帯し、科学の普遍性と開放性を維持していくことが重要です。本学会はIBRO、SfN、CJK(中日韓)、FAONSでの活動、および二国間連携を通じて多くの海外学会とのネットワークを広げてきました。特に昨夏出席したK-Brain (KSBNS) 2025 & The 3rd CJK Neuroscience(仁川)では、本会会員をはじめ多数の若手神経科学者の参加と熱気を実感し、東アジアの神経科学コミュニティの発展を目の当たりにしました。今後もこれらの連携をさらに深め、日本の神経科学研究の国際的プレゼンスを高めていく所存です。

また、文部科学省が公募中のロードマップ2026(学術研究の大型プロジェクト)や脳科学拠点形成の議論にも、学会として積極的に関与しております。神経科学分野は、科研費によるボトムアップ型研究費に加え、AMEDなどによるトップダウン型の大型研究費によっても幅広く支援されており、他分野と比較して比較的恵まれた環境にあります。しかし、この状況を維持・発展させるためには社会の理解とサポートが不可欠であり、若手研究者のキャリアパス支援とあわせ、会員の皆様にもアウトリーチ活動等を通じて神経科学の重要性を広く発信していただきたいと切に願っております。私たち一人ひとりが「自分事」として取り組むことで、持続的な研究環境の構築につながるものと確信しております。

2026年7月のNeuro2026, 第49回日本神経科学大会(神戸)において、多くの会員の皆様とお目にかかれることを楽しみにしております。50周年という礎の上に、次の半世紀に向けて神経科学の発展を皆様とともに担ってまいりたいと思います。引き続き皆様のご支援とご協力をよろしくお願い申し上げます。

2026年7月

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