磁気共鳴イメージング(magnetic resonance imaging MRI)は1970年代初頭に出現し、いまや医療のみならず、ヒトを対象とする基礎研究、例えば、患者を対象としない神経科学的研究などにも無くてはならない装置となっています。このような状況にあって、特に基礎研究用に設置されたMR装置の安全性に関する考え方が重要になってきました。日本磁気共鳴医学会の安全性評価委員会は、MRIの安全性について多岐にわたり検討を重ね、その結果はMRI安全性の考え方(第二版)(*)としてまとめられています。一方、日本神経科学学会においても、基礎研究で頻用される機能的MRIなどヒトを対象とするMRIの安全な運用に関する指針の策定が求められてまいりました。そこで、2016年より、日本磁気共鳴医学会と日本神経科学学会の合同ワーキング・グループを設立し、指針の策定を進めてきましたが、このたび「基礎研究に用いるヒトを対象としたMRI検査の指針」としてとりまとめましたので、公表いたします。
作成にあたっては、神経系の基礎研究を中心とした広い視点に立ち、MRI安全性の考え方(第二版)を基盤として、MR装置を適切かつ安全に管理運用するための安全管理体制を確立することに重点をおきました。本指針が、MRIの安全な管理運用、ひいてはヒトを対象とする基礎研究の発展に資することを願っております。
2018年8月29日
日本磁気共鳴医学会 理事長 原田 雅史
日本神経科学学会 会長 伊佐 正
(*) https://gakken-mesh.jp/book/detail/9784780908848.html